テーマとしての映像現象(イメージフェノメナン)

08.06.13


ソヴィエト・ロシアの映画監督エイゼンシュテインがその論文集『エイゼンシュテイン全集1〜10』の中で、映像だけでなく、絵画や建築、音楽についても問い続けたのは、それらの分野を束ねた総合芸術を目指した訳ではなく、映像という形式=《映像》の独自性を探求することが目的でした。エイゼンシュテインは、その晩年の論文「ピラネージ、または形式の流動性」において、《映像》の特性は、その分野を他の表現ジャンルから境界付けている形式そのものが時間とともに流動していることだと暗示しています。言い換えると、《映像》を支えている形式そのものが現象であり、また、その現象を見詰めた時にのみ映像という形式が立ち現れることになります。私たちはこの映像現象を《イメージ・フェノメナン》と名付けています。 映像学科の3年次の授業「イメージフェノメナン」においては映像現象を志向するダイレクトな映像制作を試みていますが、ドラマやアニメーション、メディア・アート等においても、それが《映像》である限り、映像現象がかなりの比重をもつ時がくるでしょう。 そして《映像》がもっと成熟すれば、映像学科のゼミも映像の諸ジャンルによって選択されるのではなく、テーマによって各々の制作に関係付けられるでしょう。 その時の私たちのテーマが《イメージフェノメナン》です。

武蔵野美術大学映像学科

主任教授

板屋リョク